Toxic・Romance
片桐さんの知り合いが経営しているという焼肉店は人気店らしく、金曜の夜ということもあって繁盛していた。 比較的若い世代に人気なのか、私たちと同世代らしい仕事終わりの女性たち、男性グループ、カップルが見受けられる店内。二人用のテーブルに通され、上着を掛ける。個室ではないため、周囲の女性たちからの視線をなんとなく感じる。
見慣れてうっかり忘れそうになるけれど、彼の顔面偏差値は芸能人並なのだ。
「なに?」と、片桐さんと視線がかさなる。「なんでもないです」と、あわてて目を逸らした。
片桐さんがおすすめだと言うお肉を注文してくれた。小鉢と一緒に出されたお肉は、もう、見た目が“美味しいです”と言っているようだった。
「すごい!ビジュ優勝してますね!?」
「だよね、わかる」
通い慣れているのか、片桐さんの感動は薄い。
「写真撮っていいですか?」
「どうぞ。俺も撮っていいですか」
「どうぞ!お構いなく!」
「(うーん、片桐さんが入っちゃうなあ……)」
匂わせはNGだけど、席が近いのでどうしても映り込んでしまう。
「あの、片桐さん、すこし映っちゃっても……」
顔を上げる。片桐さんはお肉ではなく私の方にスマホを向けていることに気づいた。