Toxic・Romance

 片桐さんにご馳走になったので、店を出て半分出すと言えば「今度甘いものおごって」と言われたのでなるほどそちらの方が良いと思って、渋々了承した。

 お店を出て、店名をもう一度おぼえて、それから片桐さんの隣を歩いた。見上げる。シャープな顎のラインが素敵だ。見た目も言いけれど、中身はもっと素敵って、チート過ぎやしませんか。

「片桐さんって、良い人ですね」

 憎まれ口を叩こうとしたのに、褒め言葉が口蓋をすべった。片桐さんはそれを払拭するように鼻で笑う。

「良い人なら著作権の代わりに条件なんて出さないよ」

 あっさりと覆される褒め言葉。

「あ、そうでした。たまに良い人です」

「いい人認定ガバガバだな」

「そんなことないですよ?苦手な人は苦手です」

「たとえば?」

 たとえば……。

「…………昔の片桐さんとか…………」

 思い当たる可能性を素直に口にすれば、片桐さんは呆れたように笑う。

「絆されてんじゃん。危機管理能力がないねえ」

「苦手だったはずの人がいい人だったら、余計に嬉しくなるじゃないですか。前から見ると鬼だけど、側面は綺麗というか」

「誰が鬼だって?」

「ちがいますよ!?今のは、言葉のあやというもので」

 あたふたとする私をみて、片桐さんは楽しそうにする。
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