Toxic・Romance
──なんで、いつも私なんですか。
心の中でだけ、誰にも聞こえない音量で毒を吐く。
期日はだいたい「今日中」。 文章は必要最低限、というか、もはや礼儀を削ぎ落とした「指示書」に近い。 こちらが送った確認メールには半日以上平気で返信をよこさないくせに、こちらの作業が少しでも遅れれば、秒速で催促の弾丸が飛んでくる。
「ていうか、この資料……先週私が送った段階で、完璧にチェック済みなんですけど」
小声で溜息を落とす。周りに聞こえないほどの音量なのに、自分の耳には、溜まりに溜まった疲労がそのまま乗った音として返ってきた。
こっちは昨夜、数字の整合性を取るために何度も検算して、目がチカチカするまで見直したのだ。それを「正確性の確認必須」の一言で片付けられると、自分の仕事そのものを否定されたような気分になる。
私がコンプラ委員会に相談しないだけ、ありがたいと思ってほしい……。社内ハラスメントのボーダーライン、全力で反復横跳びしてる自覚あるのかな、この人。
メールのやり取りしかない相手。顔も知らない、声も知らない。 なのに、気づけば私の中で「世界で一番苦手な人」のランキング首位を独走していた。
心の中でだけ、誰にも聞こえない音量で毒を吐く。
期日はだいたい「今日中」。 文章は必要最低限、というか、もはや礼儀を削ぎ落とした「指示書」に近い。 こちらが送った確認メールには半日以上平気で返信をよこさないくせに、こちらの作業が少しでも遅れれば、秒速で催促の弾丸が飛んでくる。
「ていうか、この資料……先週私が送った段階で、完璧にチェック済みなんですけど」
小声で溜息を落とす。周りに聞こえないほどの音量なのに、自分の耳には、溜まりに溜まった疲労がそのまま乗った音として返ってきた。
こっちは昨夜、数字の整合性を取るために何度も検算して、目がチカチカするまで見直したのだ。それを「正確性の確認必須」の一言で片付けられると、自分の仕事そのものを否定されたような気分になる。
私がコンプラ委員会に相談しないだけ、ありがたいと思ってほしい……。社内ハラスメントのボーダーライン、全力で反復横跳びしてる自覚あるのかな、この人。
メールのやり取りしかない相手。顔も知らない、声も知らない。 なのに、気づけば私の中で「世界で一番苦手な人」のランキング首位を独走していた。