Toxic・Romance


 私はたぶん、片桐さんからのお願いに弱いのだとおもう。

 流れるように次の週末も予定を埋められた。その日は食事のあと、片桐さんの家に招かれた。というか『俺ん家に泊めるから、必要なものがあれば用意する』と事前に申告されていたのだ。だから、必要なものは自分で用意すると言った。

 着替えなどを準備すればかなり大荷物になってしまって、会社を出る際お姉さま達に「どうしたの、家出中……?」なんて心配された。

「なにその荷物。家出した?」

 なのに、片桐さんもそんなふうに揶揄うから「そうですって言ったらどうするんですか」と反論すれば「いいよ、俺が保護するから」と、あっさり肯定したのだ。信用ならない。

「そのパジャマ、俺ん家に置いとけば」

「や、私、パジャマを一着しか持ってなくてですね……」

「じゃあ明日、俺ん家用のパジャマ買いに行こうか」

「え……?」

「毎回家出並みの荷物用意するの面倒でしょ」

 決まり。そう言って片桐さんは再びわたしに触れた。

 たしかに、触ってほしいと言ったのは私だ。けれど、いくらなんでも片桐さんは触りすぎだと思う。 しかも責任の所在は私。そうだよね?あれが普通?

 恋人でもないのに、パジャマや化粧水を置かせてくれる心理も、私は片桐さんじゃないから分からない。
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