Toxic・Romance


《到着しました》

 そんなメッセージを受け取っていたけれど、待ち合わせ場所に到着するのはおそらく私が早かった。雨木さんらしきひとは見当たらない。なので服装の特徴を教えて雨木さんの到着を待った。

 正直、気を抜いていたのだと思う。

 振り返れば片桐さんが見守ってくれるから、一人で気を張らなくていいから、終わったら片桐さんが待ってくれているから。

「(楽しい報告が出来ればいいなあ)」

 期待と不安が共存する胸の内側。

「あの……萌生ゆるさん……ですか?」

 私のもう一つの名前をなぞったのは低音だった。おどろいて振り向くと、シルバーのマッシュヘアが眩しい男性が私を見下ろしていた。だぼっとしたパーカーと華奢なスキニージーンズが良く似合う、背が高く、中性的な顔立ちのひと。

 点と点を結びつけるのは、困難だった。

「あ、ちがったらごめんなさい……。気にしないでください」

 男性が表情を曇らせるから、あわてて「ちがいます!」と言いながら、違う訳でもない……!と、頭を抱えた。

「や、えっと、あってます。もしかして雨木……さんですか?」

「はい。良かった、合ってた」

 雨木さんは安堵のため息を吐き出すと「緊張しますね」と、微笑んだ。
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