Toxic・Romance

 私が思っている以上に有意義な時間を過ごせた。たとえばインスピレーション1つをとっても十人十色で、その引き出しは自分の過去から、たとえば推しから、たとえば音楽から。作家さんたちの話はどれもわたしの創作意欲を刺激した。

 ちなみに私のインスピレーションの源泉は片桐さんだ。しかし、グループ会社にいる麗人が恋人で、彼をモデルに書いてます、とは口が裂けても言いません。

「今度、文芸をメインに取り扱う展示即売会があるんですよ」

 初対面なのにすっかり溶け込みその場を楽しんでいると、突然、気になる誘いを受けた。

「そうなんですね……!」

 読者が聞いたら喜びそうな企画だ。かくいう私も、ミーハー心を必死で抑えている。

「有志達でアンソロジー本を出そうと思ってるんですが、良かったらゆるさんもご一緒しませんか?」

 抑えているっていうのに、さらに爆弾発言を投下されてしまうから、息が止まるかと思った。

「えっ、一緒に!?」

「あ、でもゆるさんなら単独でも製本したら売れそうですね」

「私も欲しい」

「えっ!?」

 これは建前なのか、本音なのか、私には判断がつかない。……建前だよね……??そうだよね?

「でもほら、それぞれプライベートもあるから無理しないでね?私も子どもがいるから悩むなあ」

 わたしと同い年に見える作家さんの言葉に「え!?お子さんがいらっしゃるんですか!?」と驚いた。

「そうだよ〜。萌生さんは子持ち?」

「すみません、結婚もまだです!」

 顔を真っ赤にさせていれば「かわいい〜」と、甘やかされてしまった。
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