Toxic・Romance
あっという間にお開きになったオフ会。2軒目に誘われたけれど、私はご家庭のある作家さんに便乗して帰ることにした。「約束があるので」と言えば「わかった、お子さんだ」と揶揄されたので「そうなんですよ、もう、大変で……」と話にのった。
「自分も執筆したいので、帰りますね」
雨木さんも帰る組に加わったので、途中まで一緒に帰ることにした。彼は恋愛に現を抜かす私とは違って、執筆のことで頭がいっぱいなのだ。
「(私とは、まるでちがう……)」
きっとそれは趣味で楽しむ私と、その先を見据える雨木さんとの明確な差。そこに善悪はない。きっと、楽しんだ方が勝ちだと思う。私も楽しい。雨木さんも楽しい。さっき参加されていた作家さんたちも皆楽しんでいて、その輪が広がっていくのが、共通の趣味を持つもの同士の醍醐味だと思う。
「共同制作かあ……たのしそう」
だからこそ、今日のような凝縮された時間を過ごすのは今後の血肉となるだろう。
「強引に誘ってしまってごめんなさい。平気でしたか?」
「楽しかったです。一人だと絶対に見れない景色でした。雨木さんと関われて良かったです」
「そう言ってもらえて光栄です」
「また誘ってください!」
足取り軽やかに歩いていれば、突然「あの、萌生さん」と、雨木さんに呼ばれて振り向いた。雨木さんが立ち止まるので、必然的に私も止まる。
「よければ……」
「ゆーゆ」
雨木さんの声が、聞きなれた声に重なって消えた。