Toxic・Romance
「ホストとの恋愛も良いですね」
効果音があれば、キランと何かが輝いたに違いない。さながら名探偵のごとく呟くと、雨木さんもまた、ハッと目を見開いた。
「……身分差とも相性が良さそうです」
最高の設定に「良いですね〜!!」と物語の種に目を輝かせる。
「ファンタジー要素を絡めて、美形揃いの宮殿に仕えることになった没落貴族の令嬢設定もいいですね……」
やはり彼は天才であることを再確認し、それから一拍置いて、片桐さんの元へ駆け寄った。
「雨木さん、彼はホストでも営業でもなく、私の…………彼氏です」
彼氏、という名称をつかうことも生まれてはじめてのことで、変に緊張して言葉をなぞった。
「どーも、怪しい彼氏です」
片桐さんはわざとらしい紹介をするから、雨木さんは慌てて「そうだったんですね!?し、失礼しました」と言って謝罪していた。
片桐さんは私の腰に手を回し「楽しかった?」と問いかける。真上にある片桐さんの極上の笑顔。好きな人がたのしそうな場合、私まで嬉しくなる。
「とても楽しかったです」
「そう、良かったね。彼に送ってもらったの?」
「はい。通り道だったので」
「ご親切に、ありがとうございます」
片桐さんは一定して、ゆっくりとした低い声で告げるので、少し、違和感。
あれ?機嫌がよろしくない……?
少しだけ不安になっていると、先に雨木さんがふわりと笑い「では萌生さん、お互い頑張りましょう」と労ってくれるから「はい!もちろん!」と言って別れた。