Toxic・Romance
けれど、この想いは私の一方通行かもしれない。だって、片桐さんから一度も”好き“と言われたことがないのだ。
「片桐さん、好きです」
でも、別にいいのだ。両思いの時点で奇跡みたいなものだから。
「ねえ、聞いてもいい?」
片桐さんの目が優しさを帯びる。すぐに「はい!」とうなずく。
「あんたが泊まるのは無しだけど、俺が泊まるのは有り?」
愚問だ。無理難題を除いて、私が駄目というわけがない。こと片桐さんに関して、私のガードは緩い。
「大歓迎です!……あ、でも、家を出たまま片付けてないので、できれば待ってくださると助かります!」
「わかった。じゃあ着替えとか適当に買ってくるから」
「わかりました!」
終わったはずの今日の幸せが続く。こんな嬉しいことがあるだろうか。
同時に、漠然とした不安もある。いつかまた、ふたりとひとりになって、私だけが弾かれてしまうのではないかという不安。何時になったら拭えるのだろうか、名前もない、稚拙で漠然としたもの。