Toxic・Romance
「え、そんな顔してましたか……?」
「してるしてる。で、最近月島のお友達はどんな感じ?」
夜永さんはいつかの私の苦肉の策を面白がって、度々こうして進捗を聞いてくるのが日常と化した。
もしかすると、嘘とはいえ友達を騙るからこそ慎重に話すべきだ。けれど今日はこの溢れだす幸福のおすそ分けをしたくて、口が軽くなるのも事実。
「恋人からの特別感を、噛み締めているらしいです」
「ほう。良かったねえ〜、例えばどんな?」
改めて言葉にしようとして、少しだけ考え込む。
客観的に見れば、それは拍子抜けするほど些細なことかもしれない。けれど、私の胸の奥をこれほどまでに温めるのは、他でもない彼の変化だった。
「……飲み会の終わる連絡を、自分からくれるそうです」
「えっ、それだけで?月島……の友達コスパ良すぎない!?」
先輩が噴き出した。そのあまりに直球なツッコミに、私も思わず「ふふっ」と声が出た。
けれど私にとってはそれだけじゃない。誰かが日常の喧騒の中で、帰る前にふっと思い出してくれる存在になれるなんて、これまでの私の人生には、一度もなかったことだから。