Toxic・Romance
「さっきの導線設計、良かったです。SNS導入のタイミングも素晴らしいセンスだわ」

「え、あ……ありがとうございます……!」

 予想外の賛辞に、私は戸惑いながら頭を下げる。彼女は余裕に満ちた笑みを浮かべたまま、ふと話題を切り替えた。

「ところで今日、片桐馨は不在なの?」

 その名前が出た瞬間、心臓の音が耳元で跳ねた。

「……え?」

「私、片桐とは大学時代の知人なの。今日あたり会えるかな〜って少し期待してたから、いなくてちょっと残念だわ」

「へえ……そうなんですか。大学時代の……」

「最近も忙しくしてるみたいね、あの人。こないだ久しぶりに飲み会で一緒になったんだけど、その時も早々に帰っちゃって。相変わらずよね」

「(飲み会……?)」

 その言葉が、冷たい氷の塊のように胃の中に落ちた。おそらくあの飲み会のことだ。片桐さんは、私に何も心配いらないと言った。意図しない飲み会だったから、早めに帰ってきたと。固い笑顔をようやく崩して話してくれた。ただそれだけ。

 なのに、何かがひっかかる。
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