Toxic・Romance


「元気にしてますか?片桐くん」

 雪見さんはその人に向かって小首を傾げた。グループ会社の異性の私よりも、同性の彼の方が知っていると踏んだのだろう。

「ええ。今日のプレゼンも本人はものすご〜〜く参加したかったみたいですけど、どうしても外せない案件があるって俺は聞きました」

「(……そうなんだ)」

 雪見さんの目論見は成功した。だって、私も知り得ない情報を彼は知っている。ふざけたキャラクターで鼓舞するくらいなので、それほど重要視していないものだと思っていたのだ。

「参加したかった?」

 雪見さんの素朴な疑問は、彼が教えてくれた。

「おそらく、一緒に仕事をしたい人がどこかに居るんでしょうね」

 すっと横に流れた切れ長の瞳が私を捉える。

 もしかして、私のこと教えた……?

 まるで揶揄われているような、そんな裏も読めるニュアンスだった。

「ふうん。仕事熱心はいいけれど、相変わらず遊んでるみたいね、彼」

 しかし、その男性と違って雪見さんは悪意もない純粋な言葉を発した。
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