Toxic・Romance
「あの……片桐さんの知人さんは、片桐さんと親しい方なんですか?」
「さっきの自称元カノより親しいと思うよ。特定の誰かがもしも困っていることがあればフォローして欲しいって頼まれるくらいには」
「特定の、だれか……」
「彼女が」
「……!」
心臓が跳ねた。やっぱり、認知されていた。そればかりか片桐さんが私を、大事な存在として、この美形の男性に託していた。それでも、雪見遥という存在が残した影は、私の中から消えてはくれなかった。
「(でも、雪見って苗字……)」
私の顔が暗く陰ったのを見て、彼は不敵な笑みを深くした。
「どうしたの?そんなお通夜みたいな顔して」
彼の皮肉もあながち間違いではないと思う。たぶん、私は今相当暗い顔をしている。
「確かに私は彼女なんですけど、多分、私は誰かの代わりなんだって。あの人か分からないけれど、片桐さんは元々”ユキ“って人が好きみたいで……」
口にすると、情けなくて涙が出そうになる。
初めて聞いた時、私はその名前に負けたのだと思った。けれど彼は、私の告白を聞いた瞬間、首を傾げた。
「グループ会社の下請けの子でしょ」
「え……?」
私も同じような疑問を表情に乗せる。