Toxic・Romance
「…………できたら行きたいです。けど、同僚さんたちは良いんですか?」
懸念点を口にすれば、片桐さんは少し身をかがめて目線を私と同じにさせた。
「俺もあんたと一緒がいいよ」
ああ、どうしよう。
クライアント・片桐馨は仕事の鬼だけど、恋人・片桐馨はずっとやさしくて甘い。お口の中でお砂糖をころころと転がすように私をあまやかす。
そして断られるとばかり思っていたから、いざ会社のエントランスを二人でくぐる、のような光景を予想していなかった。周りには帰宅時でグループ会社の社員が大勢いる。
イコール、周囲の視線が、痛い。
突然、推しと一緒に帰宅することになったファンのような心境でいたから肩はきゅっと竦んで、足はガチガチに緊張していれば「なんの遊び?」と片桐さんは笑い「手を繋いでみようか」などと、さらに爆弾を投下するので「私が死罪になるのでやめましょう」と、拒否した。
その後、私たちは恋人同士の時間を楽しんだ。
「片桐さん、実は今日のコンペで片桐さんの知り合いの方に会いました」
片桐さんのお部屋で、肌触りの良いブランケットに包まりまったりと過ごしているとき、昼間のことを思い出した。
「男?女?」と片桐さんは尋ねるので「両方です」と返事をした。片桐さんがブランケットをつまみ、すべり込むように包まってくるので、二人で同じブランケットの温かさを堪能する。