Toxic・Romance
「どんな人だった?」
片桐さんに尋ねられ「女性はお綺麗なひとで……」と、雪見さんの情報をつたえようとすれば「女の方は俺も記憶に無いから、いなかったこととして」と言われたので、女性は抹消して男性の情報を引き出す。
「すごくかっこいい人でした。なんというか、そこに存在するだけでモテそうな、優しそうな人」
「ああ、優しくはないかな」
「そうなんですね?でも、かっこいい人だったけど、創作意欲は全然湧かなかったなあ」
いくらかっこよくても、私の創作意欲を掻き立てるのは片桐さんだけということが証明された。
「あいつと話したこと全部忘れてね?顔とか声もできれば全部」
「え!?無理ですよ」
「無理じゃない。するんだよ」
暴挙だ。けれど、あの人のおかげで、私が知るはずのなかった片桐さんが知れた。
「片桐さん、実は私、結構不安なんですよね」
「不安?」
「はい。毎日ほとんど大丈夫なんですけど、ごく稀に不安な時があって。あ、でも毎日ほとんど無事なので安心してくださいね」
なぞに安心材料をプラスさせると「結局不安なんじゃん」と、片桐さんは不満気だ。