Toxic・Romance
「よし、ここは息抜きに行こうや」

 パン!ともう一人は気前よく手を叩いた。

「息抜き、ねえ」

 しかし、例のその人はどうやら気乗りしないらしい。

「ちょうどCAの子から合コンに誘われてたんだよ、もちろん行くよな、つかお前が来てくれたら可愛い子の参加率高いし来てください」

「余計疲れるわ」

「俺が片桐の分払うので、お願いします〜!!」

「国際線勤務なら考える」

「なんで国際線?」

「距離感、大事」

 彼はそう言って、吸い殻を灰皿に押し付けた。  

 (――素晴らしいほどの、クズな美男子)

 私の中の萌生ゆるは歓喜した。

 身軽で、冷酷で、言葉に信用がない。  けれどその美貌ゆえに、すべてが毒のある魅力に変換されてしまう。

 メールの主が彼かどうかは、まだ確証がない。というか、認めたくない。  あんなにムカつく相手が、こんなに私の「創作欲」を刺激する存在だなんて、認めたら負けな気がする。  
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