Toxic・Romance


 仕事の話だとうれしい。だけど私の予想通りとはならないだろう。

 多分、あの約束のこと……だよね。

 身体で払う、の意味を私なりに咀嚼してみた。

 私の希望は、企画のひとの悩み相談とか、恋の悩みを聞くだとか、推し力士について語るとか、そうだとうれしい。

……無理だよねー……。

 もう一度深いため息を落としながら、隣のデスクに向かって「夜永さーん、取引先のことで確認お願いしたいんですけど」と、声をかける。「ちょっと待ってね……うん、OK。どしたの?」夜永さんは快くそれを引き受けてくれる。

「片桐 馨ってひと知ってます?」

 確認の合間に探りを入れてみれば、夜永さんは「ああ」と苦笑いを浮かべ「知ってるよ。私と同期だもん」と、衝撃的な事実を教えた。

「えっ、そうなんですか!?」

「私、元青藍の人間だから」

「そうだった……!」

 夜永さんは本部側の人間だったけれど、理由があってAInewに異動したらしい、と、いつか人伝に聞いたことがある。そしてそれは触れていい理由じゃない。だって夜永さんは、過去を話す時少しだけ壁がある。
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