Toxic・Romance
質問を畳みかけられるたびに、私の防衛ラインがズルズルと後退していく。全否定しているはずなのに、外堀が着実に埋められていくこの感覚。彼は少しだけ困ったように、けれど隠しきれない愉悦を瞳の奥に浮かべて吐息をついた。
「月島さんって意外とわがままだな」
どの口が言うのか。こちらの選択肢を奪っておいて、最後に責任をこちらに投げる。そんな彼のやり口に、私はただ「うう……」と唸るしかなかった。
「私、多分ですけど、片桐さんが嫌いなタイプですよね! 嫌になったり面倒になったらどうぞ遠慮なく、都合の良い別の女性と過ごしてくださいね。もちろんリスケはしません」
精一杯の虚勢だった。彼のような効率至上主義の権化であれば、手間のかかる女はすぐに切り捨てるはずだ。そう踏んで、私はわざと可愛げのない言葉を並べた。
「金は掛かるけど、プリンス予約するか」
なのに、尽く裏目に出るのはどうしてか。
「えっあの、大丈夫ですよ、無理しなくて」
「いえいえ、いつも無理難題を快く聞き入れてくださっているので、是非労わせてください」
片桐さんの笑顔が一瞬、歪んだ気がした。