Toxic・Romance
 自分の髪の毛がシーツの上に広がるのを感じた。

「かたぎり、さん……?」

 心臓が肋骨の内側を激しく叩く。彼は私の髪の毛のその一つの束を掬うと、そっと口付けた。

「駄目でしょ、ムカつくやつにスキ見せたら」

 ゆるく微笑んだ彼は、「警戒心、バグってんの?」そう唇を動かしながら、私の首筋に軽く口づけを落とした。それから私の頬や額に、羽がふれるような軽い口付けを幾度も落としていく。慈しむような動作で。

 惑わされる。この甘い香りに、どこまでも落ちてゆく予感がした。

「あの、片桐さん」

 なんとか胸に手を当て、身体を押しやろうとする。けれどビクともせず、ただのパフォーマンスに終わった。

 負けない、と宣言したのは私だ。

「わ……私に恋人がいるとか、気にしないんですか」

「気にしない。つか、いないでしょ」

「い……いたらどうするんですか!」

「月島さんみたいなタイプだったら、俺にこの契約を持ちかけられた段階で、彼氏の有無について言及する」

「う……」

 全く持ってその通りである。
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