Toxic・Romance


「(捕まるって、)」

 まるで責任の所在は私にあるような言い方だ。私の意見を聞かず、選択肢を奪い、強引に攫ったのは片桐さんのほうなのに。

 目まぐるしく変わる状況にあっぷあっぷしていると、さっきまで私を縫い止めていた圧がふっと緩んだ。肩に置かれていた重みが消え油断した次の瞬間、今度は、そっと触れるか触れないかのあいまいな距離で、唇が重なる。

 確かめるみたいに、短く。柔らかな熱だけを残すキスだった。

「こういうのはさ、嫌ならちゃんと嫌って言える距離でやらないと」

「そう、なんですか……?」

「ん」

 低い声は、もう棘を含んでいない。教えてと頼んだ相手に自身を教え込むような、甘さを孕んだ声で私を誑かす。

「もう一回、口開けて」

 額を軽く預けられて、もう一度。今度はさらに浅く、慰めるように唇が触れた。

「ん……っ、ふ……」

 そのまま彼の手がブラウスの奥、素肌を滑るたびに、背筋を痺れるような熱が駆け抜ける。
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