Toxic・Romance
「……っ、すみません、私はちょっと、関係ないので、というか関わりたくないので、失礼します!」
「このままだと役員の娘に捕まって俺の貴重なプライベートが死ぬ」
「いや、あの、聞いたら関係者になるじゃないですか! 巻き込まないでください!」
「どこかに良い代役、居ないかなあ?」
わざとらしく周囲を見渡す彼に、私は全力で首を振った。
「わー!!!!! いませんよーー!!! どこにもいません!!!」
耳を塞いで逃げ出したくなる私をよそに、片桐さんは満足げに目を細めた。そして、お姉さま方が見たら悲鳴を上げて卒倒するような、とびきり端正で、凶悪な王子様スマイルを浮かべる。
「……責任、取ってくれるよね?月島さん」
「うっ……嫌です、やだ!」
「じゃあ、金曜に」
一方的にそう告げると、彼は私の鼻先で煙を一つ吐き出し、足をおろして悠然と喫煙所を後にした。
一人残された私は、彼が置いていった吸い殻と、心臓の嫌な鼓動だけを抱えて立ち尽くす。
「……さいあく。……性格悪すぎ、あの人……!!」
物語のスパイスどころか、彼はまるで劇物だ。