Toxic・Romance
「それより、恋人役が必要ってどういう人生をおくればそんな状況に陥るんですか?」
思わずぐいっと詰め寄ると、片桐さんはゆるく微笑んで「こんな人生」とまるで他人事のように躱した。仕事の時は鬼塩対応なのに、プライベートで真面目に取り合っても無駄そうだ。
「そうですか。女性を顧みずに自己中に生きてきたんですね」
ふは、と片桐さんは緩くわらうと、頬杖をついた。
「気にいられたんだよ、スポンサー企業の役員のお嬢さまに。俺的には穏便にプロジェクトを進めたいんだけど、どうも無理そう。丸く収めるなら、相手が一番納得できる方法が良いっしょ」
語られるのは、どこまでも打算的で、冷めた現実。彼の言葉はどこまでも他人事。
「理屈は分かりますが、相手が私で納得されるでしょうか」
「するでしょうよ」
「そうですか?例えば、どうすれば」
「俺がきみに夢中で、月島さん以外眼中に無いって分からせる、とか」
熱っぽい視線を向けられ、たじろぐことしか出来ない私は赤子のようだ。
「お、お断りします……」