Toxic・Romance
お部屋に入ると、また違った感動があった。
「素敵!先週のホテルより良いですね!?」
広いし、ウェルカムドリンクらしきシャンパンもあるし、インテリアも素敵だ。本当にラブホテルか、もしそうならばラブするだけでは勿体ない作りだ。
「月島さんはお手軽でいいね〜」
腕時計を外しながら、片桐さんは気楽そうに笑う。まるで、私がこうなることを最初から知っていたみたいな顔で。
もしやプリンスホテルよりお高いのでは、と勘繰ってしまう。しかし、虹色にライトアップされたお風呂はガラス張りだし、ベッドはあたりまえに一つだけ。そして何より、片桐さんが隣にいるだけで、この場所が選ばれた理由を、身体より先に理解させられてしまうのが悔しかった。
……いったい、いつ、どんなタイミングで「それ」がはじまるのか。待つのも恥ずかしければ、期待を滲ませるのはもっと嫌だ。
「荷物、どうする?」
片桐さんが、手を差しのべる。
前回は、荷物を渡すのがトリガーだった。今日は絶対に渡さないと決めていたから、荷物をぎゅっと抱きしめて「けっこうです!」と、拒絶する。片桐さんは、ゆるく微笑んで「じゃあ、吸っていい?」と、煙草を一本取り出した。
私がダメと言えば吸わないのか。じゃあ、私が嫌ですと言えば行為に及ばないのか。その答えは、片桐さんしか知らない。