Toxic・Romance


 力が抜けてしまったのもあるし、反射的に身を守ろうとしたのもきっとある。だけどそんな内気なふるまいが許されるはずもなく、片桐さんはすぐに私の上体をかかえこむようにして起こしあげた。

 そうすると、尾てい骨にかたいものがあたっていることに気づいた。かすかな不安が混ざりあうのは、当然だったと思う。

「片桐さん、なに、これ……」

 助けを求めるように首を動かして振り向くと、その体勢のまま片桐さんは私の唇を塞いだ。軽く。

「なんだろうね」

 こたえを知っているはずなのに、彼は教える気はなさそうだ。そのあいだもずっと、彼の手は私の胸を愛撫し続けていた。疑問が解消されたわけでもない、のに。

 ──……きもちいい、

 いつしか私は不完全なかたちであるものの、裸になりつつあった。片桐さんは邪魔そうにネクタイをゆるめ、ボタンをふたつ、みっつ外すとシャツを脱ぎ捨てた。

「(ひゃあ、はだか……っ!)」

 片桐さんのからだは、むだな贅肉がなく引き締まっていて、神々しかった。前回とはちがって、酔っていないからこそ、はずかしい。こんなの、なれるわけも無いし、慣れようとも思わない。
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