一等星センセーション―日陰女子、イケメンアイドルになります!?―
校門前に1人で立ち止まっている私を追い抜いていく男子生徒が、横目に私を見て綺麗な二度見をする。
春の朝日を浴びて茶に透ける、遊ばせた黒髪ショートヘア。
日焼け知らずの白い肌は、あまり男子らしくないだろうか?
煌びやかな世界に怖気付いて、丸みのある瞳は弱気に揺れる。
けれど、上品なライトグレーのブレザーに濃紺のスラックスはジャストサイズに作ってあるから、華奢な私でもスタイル良く見えるように着こなせているはず。
トリックアートでも見てるかのようにじっと私を見ていた彼が、首を傾げながら前を向く。
彼の隣にいた母親が不思議そうに首を傾げた。
「どうしたの?」
「や、男かと思ったら可愛い顔してて……
でも制服的にやっぱ男だったわ」
そんな会話が聞こえてきて丸まった背中がピクッと揺れる。
いけない、弱気になるとすぐ眉尻が下がってくるから。
なよなよしていては、ボロが出てしまう。
キリッと顔を引き締め直して、改めてバッグを後ろ手で肩にかける。
よし行くぞ、と顔を上げたらその先にはやっぱり煌びやかな世界が広がっていて。
(――やっぱ、無理!)
思わず目を瞑って、勢いよく後ろを向いた。
「何やってんの……?」
近い距離で、耳馴染みのある呆れた声がする。
砂糖を溶かした炭酸みたいな、吐息の混ざるミドルボイス。
目を開けると、スクールバッグの肩紐をずり落として、想像通りの怪訝な顔をしてるユウキが立っていた。