一等星センセーション―日陰女子、イケメンアイドルになります!?―

――これは、8年前の南の記憶。


『わかってないなぁ。南は』


そう言って綺麗に笑う黒髪の少年は、手を伸ばして今より丸みのある南の頬を掴む。


誰もいない、とあるレッスンスタジオの階段。

並んで座る2人の姿は、小学校高学年の男子にしては少しだけ大人びている。


『“核融合反応”って知ってる?』


頬を掴まれてきょとんとしている南に、少年は得意そうな顔をする。



『星は自分で燃えて輝いてるんだよ。俺たちも同じ。

星の輝きは、自分で創るものってこと。』



――……
――――

「南……?」

恐る恐る南の顔を覗く。

パッと顔を上げた南は、いつも通り笑っていた。
でも、目だけが笑っていなかった。

「……なんでもない!
ってか、腹減らない?俺朝飯バナナだけだったんよね」

「珍しいね。朝はしっかり食べる派じゃなかったっけ?」

“触れるな”

そんな空気を感じるから、なんでもない顔で話を合わせる。

大きな不安と、小さな希望。
それから、ほんの少しの疑問。

全部抱えて、名もない星の最初の夜が、訪れる。

< 134 / 180 >

この作品をシェア

pagetop