一等星センセーション―日陰女子、イケメンアイドルになります!?―
――これは、8年前の南の記憶。
『わかってないなぁ。南は』
そう言って綺麗に笑う黒髪の少年は、手を伸ばして今より丸みのある南の頬を掴む。
誰もいない、とあるレッスンスタジオの階段。
並んで座る2人の姿は、小学校高学年の男子にしては少しだけ大人びている。
『“核融合反応”って知ってる?』
頬を掴まれてきょとんとしている南に、少年は得意そうな顔をする。
『星は自分で燃えて輝いてるんだよ。俺たちも同じ。
星の輝きは、自分で創るものってこと。』
――……
――――
「南……?」
恐る恐る南の顔を覗く。
パッと顔を上げた南は、いつも通り笑っていた。
でも、目だけが笑っていなかった。
「……なんでもない!
ってか、腹減らない?俺朝飯バナナだけだったんよね」
「珍しいね。朝はしっかり食べる派じゃなかったっけ?」
“触れるな”
そんな空気を感じるから、なんでもない顔で話を合わせる。
大きな不安と、小さな希望。
それから、ほんの少しの疑問。
全部抱えて、名もない星の最初の夜が、訪れる。