一等星センセーション―日陰女子、イケメンアイドルになります!?―
バン!と運転席のドアが開き、マネージャーさんが乗り込んでくる。
「日向、時間切れ。あなたも降りて」
後部座席の自動スライドドアが開く。
待ったなしで車を降ろされた。
「千景?」
南が私を呼ぶ声がした。
ちょうど戻ってくるところだったのだろう、足を前に出しかけた状態で南は立ち止まっていた。
きょとんとした南の目が、閉まっていくスライドドアの奥を見る。
お兄ちゃんの姿を捉えて、その目は大きく見開いた。
「日向……」
ぽろりと南の口から名前が溢れる。
その呼びかけに、お兄ちゃんは反応しない。
わざとそうしてるかのように無機質な顔で前を向いていた。
ガチャンと音を立てて、スライドドアが完全に閉まる。
間を置かずにお兄ちゃんを乗せたミニバンは、走り去ってしまった。
南は拳を振り上げて、自分の太腿を強く殴る。
その手は、そこに置かれたまま小さく震えていた。