一等星センセーション―日陰女子、イケメンアイドルになります!?―

「いつも早く帰るのは、もしかして家の事情?」

「……まぁ、そう」

蓮は少しだけ視線を落とした。
いつもの軽い笑い方はしていない。

「家見たからわかると思うけど――
うち、あんま余裕なくてさぁ。
親もずっと働いてんの」

ベンチの背もたれに置いた腕を、蓮はだらりと揺らす。

「だから家事も双子の世話も、だいたい俺。
今日も急に帰ってこいとか言われて、もー大変」

わざとらしく肩を落としてみせるけど、その声はどこか慣れていた。

「……でも」

ふっと、蓮が目を細める。

「余裕ないくせに、やりたいことはやれって。
ダンスもちゃんと習わせてくれたし」

その言い方が、少しだけ照れくさそうだった。

「だからまぁ……
ちょっとでも家計の足しになればいーかなって。
芸能活動してるってワケ」


……やさしい顔。


元々の顔立ちが優しい、とかじゃなくて。
今の蓮の目が、すごくあったかかった。

「そりゃ女の子と遊びたい気持ちはあるけどさぁ。
毎日仕事にレッスンで、帰ったら家のことして自主練して……
そんな暇ないっつーの」

「蓮も自主練とかするんだ」

思わず零れた言葉に、蓮が「そりゃするでしょー」と乾いた笑いを漏らす。

「じゃなきゃついてけないわ、あんなスパルタレッスン」

軽やかで、なんとなく大人びてて、
どこか温度が低いのが御堂蓮

――なんて思ってた。
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