一等星センセーション―日陰女子、イケメンアイドルになります!?―
「………、っ」
「そうです」と言おうとしたのに、喉に張り付いたように声が出ない。
焦りで手に汗が滲んだ。
「ええっマジ!?」
「イケメン兄弟やん!」
広がるざわめきが、やけに耳につく。
落ち着かないと。
構えてなくて、ちょっと動揺しただけだから。
美嶋日向の弟だってことは、どうせいつかバレることで――……
「全然似てないね」
最前列にいた観客の話し声が、耳に飛び込んできた。
あの人はただ事実を言っただけ。
だけど、それは私が一番食らう言葉だ。
「千景くん、どうなん?今の話、ホント?」
MCの声にハッとして、俯きかけた姿勢を直す。
笑わなくちゃ。暗い顔してたら不自然だもん。
「はい、……えと、……そうなんです」
後頭部を掻きながら、ぎこちなく頷く。
「おおー!」と会場全体から返ってきた反応を、笑って受け止めるのが精一杯だった。
「お兄ちゃんとは仲良いん?」
「美嶋日向って家ではどんな感じなん?」
場を盛り上げるための燃料を投下するみたいに、話題の中心が美嶋日向になる。
flying-Hiを広めるための場なのに、申し訳ない。
お兄ちゃんと比べられたくない。
私は結局、“美嶋日向の弟”以外の価値がない。
そんないろんな感情がごちゃごちゃになって、笑顔が崩れそうになった時――
ゴトン!
突然隣から、何かが落ちた音がした。