一等星センセーション―日陰女子、イケメンアイドルになります!?―
美嶋日向は今まで、兄弟の存在を一度も公表していない。
プライベートだって幼稚園からずっと別々な上に、日向は仕事漬けで幼少期からまともに学校に通ってない。
私は私で、誰にも気づかれない様に、できるだけ存在を消して生きてきた。
だから私とお兄ちゃんとの繋がりを元々知っている人なんて、ほぼいないと言っていい。
私の手首を掴んでいた手が離れて、今度はその手でそっと私の頬を撫でる。
反射的に細めた目に映る南の顔は、どこか優しい笑顔だった。
「ピンと来てないみたいだけど、俺と千景はずっと前に会ってるよ。一回だけね」
頬を包む手がこめかみをなぞって、ちゃんとセットした髪をかき分ける。
会ったことがあるって、いつ?
その時に日向の妹だって、私が教えたってこと?
わからない、けど。
ぞくっと痺れるほど優しい手つきに、もうバレてるのは確定なんだと悟った。
「で?女の子の千景ちゃんは、なんで男のフリしてアイドルしようとしてるの?
なんで美嶋日向は降りた?」
コツ、と額同士がくっつく。
胸に満ちる、爽やかなシトラスの香りに隠れた、アンバー系の尖った香り。
視界ももう南でいっぱい。
観念しなきゃいけないのは明白だった。