『愛をください』─ 叶わぬ想い ─
3 ◇出会い



―― そのように由香がつらい気持ちでいるところへ、ジャストタイミングで  
   ある出会いが訪れる ――

たまたまだが、その日由香は有給休暇を取っていた。

          ◇ ◇ ◇ ◇


こんな気持ちで仕事なんてできなかったと思うから、今日という日に(あらかじ)め有給を
取ってた自分は、すごいって思う。

私は宛もなく、気晴らしを兼ねてフラッと家を出た。

そして……
息子たちが小さかった頃、よく行ったことのある公園の中へと足を踏み入れた。


盛夏には、セミがうるさいぐらいに鳴き、息子たちとセミ取りにも
来たことのある公園。



私は、子どもたちが遊ぶ遊具のあるメインエリアから少し離れた、静かで
緑に囲まれた目立たないベンチに腰を下ろした。



きっと、家以外で泣ける場所を探していたのかもしれない。

そのまま近所にあるこの公園で、私は思うさま泣きじゃくった。


ふと、涙を拭って周りを見渡してみると、段差3段ほど低くなっている少し
離れた場所にあるベンチで、横たわる人がいるのが遠目に見えた。


そのベンチの置かれてある離れた場所(公園内)というのは、野球やサッカーの
できそうなぐらいの広さがある。


そしてやはりそこも周囲は緑に囲まれていて、公園脇の舗道などからは
見えにくい造りになっていて──。

そんなところに設置されているベンチの上に人が横たわっていた。


敷物の上に人が横たわっている側には、少し大きめのバッグが置かれていた。


『まさかね……』


まさかね、という私が危惧したこと、それは『ホームレス』じゃないわよね、
ということだった。


昔、見かけたその時の人(ホームレス)は、遊具(滑り台)の下の隙間を
使って毎日を凌いでいたのだが―――。 

その時の人は、毛布を持参していたのですぐにホームレスだと分かった。


数年前のホームレスを実際見た経験がなければ、今の状況を見ただけでは、
きっとそんな風には思わなかっただろう。


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