俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~
 浩斗のお客様は、ほぼ例外なく会社にとっての重要人物だ。無礼を働いて機嫌を損ねては大変だ。
まずは会ってみて、誰宛にどういう約束なのかを確認したほうがいいだろう。

「それでは、13階の接客用会議室にお通ししてください」

 結衣はそう告げると、自分も13階の接客用会議室へ向かった。
 その数分後、接客会議室のドアを開けた結衣は、ここに来客を案内したことを心底公開した。なぜなら、そこにはこの世で最も会いたくない人のひとりがいたのだから。

「え、なんで……?」

 結衣は想定外の人を前に、驚く。
 とっくに縁が切れたはずの元彼──智紀は、会議室の椅子に座って結衣に向かって片手をあげる。

「よっ、久しぶり。ちょっと結衣に頼みがあるんだよ」
「頼み?」
「玲奈と連絡が取れないんだ。受付で呼んでも断られてさ。ここに連れて来てくんねーかな?」

 顔の前で手を合わせてへらへらする智紀を見て、サーッと冷や水をかけられたような気分になった。

(なにそれ。人をバカにしすぎでしょ)

 一体この人は、結衣のことをなんだと思っているのだろう。
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