俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~
 玲奈は口元に手を当て、しょんぼりしたように上目遣いに結衣を見る。計算された無垢な仕草に、反吐が出そうになる。
(何それ……聞いてないし)
「うん。大丈夫。ちょっと行き違いがあったみたい」
 そう答えながらも、頭の中では血が逆流する思いだった。
 結衣は逃げるように給湯室を出る。その背中を見送りながら、玲奈がくすっと笑う気配がした。

 その後は無我夢中で仕事に打ち込んだ。
 嫌なことを忘れるために、集中したかったのだ。
 終業のチャイムが鳴り、結衣は席で伸びをする。
「あー、終わったー!」
「お疲れ! 結衣、今日はすごい集中してたよね」
「うん、まあね」
 結衣はふふっと笑う。
 帰り支度をしようと私用のスマホを見ると、シェアラからの通知が山のように積もっていた。開いてみると、エンちゃんからの可愛いイラスト付きメッセージが画面にずらりと並んでいる。
【お昼ごはんの写真を送ってみよう!】
【「お疲れさま」って言ってみて?】
【浩斗さんはこのあと予定が空いているよ?】
 シェアラには恋愛サポート機能があるので、その一環だろう。
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