俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~
(秘書部に行ったらあの人とかあの人と毎日顔を合わせるんでしょ?)

 結衣に頭に浮かんだのはもちろん、社長の浩斗と側近の田端の顔だ。
 そのとき、ハッとした。

(もしかして、この人事って社長の差し金?)

 考えれば考えるほど、そうとしか思えない。なぜなら、それ以外に結衣が秘書部に異動を命じられる理由が全く思いつかないのだから。

(あの男っ!)

 一言文句を言ってやらねばと思ったそのとき、「せーんぱい!」と声がした。ハッとして声のほうを見ると、わざとらしい笑みを浮かべた玲奈がいる。

「びっくりしちゃいました。横溝先輩、秘書部に異動されるんですね」
「あー、うん。そうみたい」

 めんどくさい人に気づかれたなと思い、結衣は苦笑いする。

「ふーん。さすがは社長とお付き合いしているだけありますね。この人事、社長におねだりしたんでしょ?」
「……え?」

 突然の爆弾発言に返す言葉が見つからず、結衣は玲奈を見返す。玲奈はクスッと意味ありげな笑みを浮かべていた。

「社長とお付き合い? えっ?」

 固まる結衣のすぐ横にいる夏希が、目を丸くする。
< 53 / 255 >

この作品をシェア

pagetop