俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~
「ええっ、本当に? いつ気を抜くんですか?」

 まさか家でもいつものようなキラッキラな状態を維持しているのだろうか。息苦しすぎる。
 結衣は信じられないと言いたげな視線を浩斗に向ける。

「なるほど」

 浩斗は、ふっと口元に笑みを浮かべる。

(何が『なるほど』なのよ!)

 ひとりで勝手に納得しているが、まだ質問に答えてもらっていない。

「他にはどんな店によく行くんだ?」

 答える代わりに質問されて、結衣はハッとする。

(ここは生活の差を見せるチャンス!)

「町中華とか、ラーメンとか、ファミレスとか。あと、バーベキューも好きです!」

 あなたとは生活水準が合いません、と全力で伝えるため、ここぞとばかりに庶民的な店ばかりを並べ立てた。

「へえ」

 浩斗は興味深げに結衣の話を聞く。

(なんか、そんな風に興味津々に聞かれると調子が狂うんですけど!)

 結衣は、このおかしな状態を一旦仕切り直す必要があると判断した。

「ちょっとお手洗い行ってきます」

 店の奥にあるお手洗いの鏡を見ながら、結衣は時間をつぶす。
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