俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~
 このまま少し時間を置いてひとり放置されたら、さすがに居心地悪くて機嫌悪くなるはずという作戦だ。

(そろそろいいかな?)

 恐る恐ると席に戻ると、なぜか隣の席の人とわいわい楽しく飲んでいる浩斗の姿があった。

「……知り合いですか?」
「いや、違う。話しかけられた」

 浩斗は首を横に振る。

(なんで馴染んでるの!)

 またしても、目論見が外れてしまった。

(こうなったら飲むしかないわ!)

 ついつい、酒のピッチが上げる。周囲の酔っ払い達が「ねーちゃんいい飲みっぷりだねー。これも飲みな」と大盛り上がりしながら囃し立ててくる。
 結局、この日は帰宅するまでこの調子だった。


 深夜11時、ようやく結衣達は帰途につくことにした。 

「おふたりさん、また飲もうな!」
「ええ。今日はありがとうございました」

 大声で見送ってくれる酔っ払いに、浩斗がバカ丁寧にお礼を言っている。

(うう、さすがに飲みすぎたかも)

 足元がふらつき、浩斗が「大丈夫か?」と背中を支える。

「こういう店は初めて来たが──」

 浩斗は先ほどの居酒屋のほうを振り返る。
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