俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~
「だから、恋人でもできたんじゃないかって部内で噂になっているの。あの社長の心を射止めるのはどんな人なのか、ちょっと興味あるなあ。横溝さんもそう思わない?」
「あははっ、きっとどこかのご令嬢とかじゃないでしょうか」

 なんとか平静を装い誤魔化す。そのとき背後から「ちょっと」と鋭い声がした。
 背後を見ると、いかにも仕事ができそうな雰囲気の、結衣より少し年上に見える女性が立っている。

「ムダ話はその辺でお終いよ。社長がお戻りになるわ」

 まさにその直後、外出していた浩斗が戻って来た。成瀬と田中がお辞儀したので、結衣もそれに倣ってお辞儀する。
 顔を上げた際に、こちらを見る浩斗と目が合う。浩斗は口元に僅かに笑みを浮かべ、何事もない様子でそのまま社長室へ。社長室のドアが閉まると、田中が結衣の方を振り返った。

「横溝さん、こちらがもうひとりの社長秘書補佐をしている、成瀬さんよ」

(成瀬って…)

 先日、夏希に気を付けろと言われた人と同じ名前だ。

「本日から秘書部に異動してきた横溝です。よろしくお願いします」

 結衣は緊張の面持ちでぺこりとお辞儀する。

「よろしく。成瀬よ」
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