俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~
「仕事って言っても……よりによって、なんで“これ”なの……」

 結衣のスマホの画面には、インストールされたばかりのアプリが表示されていた。

【Sharela(シェアラ)】──あなたの運命を、分かち合おう。

「……くっだらない」
「しっ! 声に出して言わないの!」

 夏希が焦ったように周囲を見回す。そう、今このアプリは結衣の勤務先──創業六年のベンチャーIT企業『サイバーメディエーション』が社運をかけてリリースした、新規プロジェクトだった。

 開発を指揮したのは、若き社長・榊原浩斗──若干二十四歳にてこのサイバーメディエーションを興し、たった六年で年商100億円を超す企業に育て上げたやり手だ。

 今、社内の誰もが彼の言葉と経営ビジョンに酔いしれ、アプリの成功を信じて疑っていない。
 結衣を除いて。

(マッチングアプリに社運を賭けるとか、どうかしてる)

 つい毒を吐きたくなるが、結衣はそれをなんとか喉元で飲み込んだ。平穏無事に会社人生を過ごしたいなら、社内で浮くわけにはいかない。

 それもこれも、昨日社長が記者会見で宣言した言葉が原因だ。
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