俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~
「成瀬先輩って、今は秘書部でしたよね?」
「ええ、そうなの。榊原社長の秘書補佐をしているわ」
「どうりで。さっき、社長が帰宅されるのを見かけました」

 玲奈はそこで一息置くと、口元に手を寄せて俯く。

「実は、最近うちのフロアの人が秘書部に異動したんですけど、ちょっと気になることがあって──」
「横溝さんのことかしら? 気になることって?」

 成瀬は首を傾げる。
 玲奈は深刻そうに眉根を寄せた。

「彼女、社長を狙っているみたいなんです。異動が決まったとき、自慢げに言っているのを聞きました」
「横溝さんが社長を? それはないんじゃないかしら?」

 成瀬は信じられない様子で、眉を顰める。

「でも、私見たんです! 社長と横溝さんがふたりで飲みに行っているところを」
「社長と横溝さんがふたりで? 見間違いじゃなくて?」

 これにはさすがに驚いたようで、成瀬は目を見開いた。

「絶対に本人でした。だから、今回の異動だって社長に頼み込んだんじゃないかと思って」

 いかにも心配でたまらないといった表情で訴えると、成瀬は考え込む。

(ふふ。せいぜい虐められたらいいわ。いい気味)

 玲奈は成瀬から顔を背けると、口の端を上げた。
 
 ***
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