俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~
「そっか。仕事中に呼び止めてごめん。あ、これ俺の名刺だからよかったら」

 阿部はそう言うと胸元のポケットから名刺入れを取り出し、結衣に一枚差し出す。

「じゃあ、またね」
「うん。ばいばい」

 去り際に片手をあげた阿部に、結衣も手を振り返した。

「知り合いか?」
「はい。大学で同じゼミでした。すごい偶然でびっくりしちゃいました」

 浩斗に問いかけられ、結衣は頷く。こんなところで昔の知り合いに会うなんて、思ってもみなかった。

 そのとき、成瀬が一歩前に出る。

「横溝さん、社長には次のスケジュールがあるんだから勝手に油売られたら困るわ。もう少し秘書としての自覚を持ってちょうだい」

 怒られて、結衣はハッとする。成瀬の言う通り、浩斗には今日の夜も会合の予定があるのだ。

「申し訳ございません」

 すぐに謝罪する。
 知人との偶然の再会で上がりかけていた気持ちが、またしゅんとなった。

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