MR(医薬情報担当者)だって恋します!


「腹、減ってんの?」
「ま、まあ少し」

 そう答えると、

「冷蔵庫にあるもんでよければ何か食べてく?」

 と鈴木が言った。

「じゃあ、お言葉に甘えて」

 鈴木は部屋の中央にある真四角のテーブルに、フランスパンとチーズ、牛乳を置いた。

「鈴木は……食べられそうにないみたいね」
「うん、無理」
「じゃあ、遠慮なく。頂きます」

 私はフランスパンを口に入れる。塩味が美味しい。硬いのでよく噛んでるのだが、鈴木が食べる私を見ているのでなんだか恥ずかしかった。

「な、何?」

 牛乳で飲み込んで鈴木を見返す。

「なんか、鈴木がここにいるって不思議だな~と思って」

 辺りはすっかり明るくなって、鳥のさえずりが平和な朝を告げている。

「ほんとね」

 言ってまたパンを口にする。美味しいのだけれど、やっぱり漂う空気が恥ずかしい。さすがに彼氏でもない鈴木の部屋で朝ごはんなんて、おかしいと私でも思う。橘先生に、部屋に行ったりするなって言われたし。すぐ帰ればよかったかな。
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