MR(医薬情報担当者)だって恋します!

***


「鈴木さん、今帰り?」

 今日も誰もいないのかなと思いながら支店に戻ると、一人の女子に話しかけられた。
 総合病院担当に配属になった佐藤香澄《さとうかすみ》だ。 

「佐藤さん。うん、今大学から戻ったところ」
「私も今日は遅くて。一緒に帰らない?」

 自社の同期に誘われたのは初めてだった。

「え、うん!」

 自然と声が弾んだ。

 それ以来、佐藤さんとは時間が時々合うことがあり、支店でたまに言葉を交わすようになった。

 佐藤さんはしっかりメイクに爪もきれいなピンク色。髪は茶色に染めていて、今どき女子という感じだ。
 始め、私は彼女と話すと気後れしてしまっていたのだが、話してみるとしっかりものだけれど普通に女子だった。珍しく犬も配属先に連れてきていて、その犬《こ》のために、ペット同居可の家賃の高めのマンションを借りていた。動物好きな私はその犬の話で段々佐藤さんと話が弾むようになった。
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