MR(医薬情報担当者)だって恋します!


***


「ねえ、髪型変えてみたら?」

 ある日、佐藤さんに帰りの地下鉄で言われて、私は困った顔をした。

「うーん。自分がどんな髪が似合うかよくわからないし、地味な顔だからこれでいいかなと思っているんだけど」

 佐藤さんは私の顔を見ながら、

「そんなの思い込みだって。少し長さを切ってパーマかければふんわりして女子力上がるよ」

 自分にはない発想だった。

「そうかな?」
「髪の色も少しだけ明るくしてさ」
「カラーリングもしたことない、私」

 佐藤さんは私の髪を触ると、

「だから髪が痛んでないんだね」

 と言った。

「それからさ、メイクももう少し明るくして」
「ええ?」

 私は戸惑う。ドクターにもよく言われることだ。

「今週の土曜日、うちにおいでよ。クッキーがいるからちょっとうるさいかもしれないけど、近くに美容室もあるし、イメチェンしてみようよ」

 私はイメチェンには全く興味はなかったけれど、犬のクッキーに会ってみたくて、

「わかった。お邪魔するね」

 と答えたのだった。
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