MR(医薬情報担当者)だって恋します!
私は自分のアパートに着くと、スーツも脱がずにベッドにダイブした。
昨日のスーツ。かすかに残る酒の匂いと鈴木の香り。
ああ。
早く脱いでシャワーを浴びたいのに、硬い床で鈴木の下敷になって寝たことで身体が痛くて、動きたくない。
それに。
私のファーストキス……。
この年まで大切にとっておいたのだ。好きな人と思い出に残るようなキスをするんだとばかり思っていた。それが、友達の鈴木とで、酒の味で、ディープキスまで。しかも鈴木は彼女持ち。まるで理想とはかけ離れてる。
私は唇を触る。
鈴木の唇は温かくて柔らかくて。でも不思議だ。気持ち悪いとは思わなかった。酒臭かったけど。
私、鈴木以外にファーストキスを奪われてたらどうだっただろう。
……それはもっと嫌かも? うん?
誰かに話してスッキリしたい。でも、こんな情けない話、誰にできるというのだ。
ああ。無かったことにできるならば。
ただ一つの救いは、鈴木が酔っていて覚えていないということだ。
そう。鈴木が覚えてないんだから、私が忘れれば無かったことになる。
月曜日は普通に挨拶しよう。別に鈴木との関係が変わることはないのだから。
「シャワーかかろう」
私はやっと起き上がってスーツを脱ぐと熱いシャワーを浴びた。