MR(医薬情報担当者)だって恋します!
呼吸器内科でのシルビルナの説明会は、滞りなく終わるかに思えた。ドクターたちのいくつかの質問にも答えられたし、良かった、と気を抜いた時に原田教授から質問を受けた。私はその質問に答えることができなかった。今野さんがカバーをしてくれてなんとかなったが、私は自分はまだまだなのだなと改めて感じた。カウントしたくもないファーストキスのことを考えてる余裕なんて私にはないのだ。
弁当の箱を回収して、後片付けを終えて帰る時に、沢野先生とすれ違った。
「今日は説明会だったのですか?」
「はい」
「おや、あまりうまくいきませんでしたか?」
沢野先生は私の顔を見て、心配そうに言った。
「質問に答えられずに今野さんに助けてもらいました」
「そうでしたか」
沢野先生はいつものように穏やかに微笑んだ。
「なんでも完璧にできる人はそうはいません。今日、答えられなかったことを学ぶことができたのですから、次は答えられる。元気出してくださいね」
沢野先生の言葉は疲れた心をほぐしてくれる。
「ありがとうございます。沢野先生はまだお仕事なのですよね。遅くまでお疲れ様です」
「いえいえ。鈴木さんもお疲れ様でした。気をつけて帰ってくださいね」
MRにもやさしく気遣ってくれる沢野先生。まさにドクターの鑑だ。
私は気持ちを切り替えて、次はもっと頑張ろうと思った。きっと沢野先生と話さなければ帰り道も失敗を引きずっていたに違いない。感謝だ。