MR(医薬情報担当者)だって恋します!


 鈴木の手の力に、彼が男なんだと今更思い出して、怖くなった。私はなんて学習力がないんだろう。橘先生にも言われたばかりなのに。

「何されたんだよ」

 鈴木の声がいつもより低く、切羽詰まっていた。
 私の知っているどこか飄々とした、でも憎めない鈴木の顔ではなかった。

 今日の鈴木、なんだか怖い。どうしちゃったんだろう。

「キス、許したの?」

 鈴木は私の顔を覗き込むように見て言った。

「口紅はげてるよ?」

 どきりとして、私は掴まれた手に力を入れた。
 私は鈴木から逃れようとする。が、鈴木はそれを許さなかった。

「したんだ」
「す、鈴木に関係ない!」
「なくない。なくないんだよ……」

 次の瞬間には、私は鈴木に唇を塞がれていた。

「んん! ん~!」

 私が身をよじると、鈴木は唇を離したけれど、手は離さなかった。

 鈴木は追い詰められた獣のような顔をしていた。そこに余裕はまったくない。
 私は困惑した。

「俺じゃ嫌がるのになんであの人とすんの平気なの? おかしいよ。そこまでして処方とりたいの?」

 また処方のことを言われて私は傷つく。

「そんなわけないでしょ?! お願い、手を離して」
「嫌だ。沢野先生が好きなの?」
「違う! 失恋したばかりって言ったじゃない! でも、沢野先生は私を癒してくれるの! MRだからって馬鹿にしないの! ……私だって、こんなことになるなんて……!」

 沢野先生の部屋は癒しだったのに!
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