MR(医薬情報担当者)だって恋します!
私は雑炊を電子レンジで加熱した。出汁のいい香りがする。
「美味しそう。いただくね」
「私もプリン食べていい?」
「香澄が買ってきたんじゃん。どうぞどうぞ」
私たちはしばらく無言で食べた。
先にプリンを食べ終わった香澄は、
「実は私も話があるんだよね」
とあらたまって言った。
「私、遠恋してる彼がいるって言ったよね」
香澄の彼の話は香澄の家以来だ。
「うん」
とドキドキしながら先を促す。
「それで、理緒の話と被るんだけど、プロポーズされて……」
「わあ! 良かったね!」
私は思わず声を上げた。香澄は珍しく照れた顔をして笑った。
「ありがと。……だから、私、今月いっぱいで退職することになったの」
その言葉に、私は固まった。
「……え?」
「有給消化もするから、実質的にはあと10日ほどで会社には来なくなる」
嬉しいことなのに、香澄が辞めちゃうんだと思うと私は急に寂しくなった。
「そ、そうなんだ……」
「理緒~、なんて顔してんのよ~!」
香澄が私の手を握って言う。私の目にはじわりと涙が浮かんでいた。
「だって、香澄はMRになって初めてできた友だちで……」
「永遠の別れじゃないんだから~! 電話だってできるし、辞めてからも会いに来るから」
「それでもやっぱり寂しいよ~!」
「ごめんね。理緒が色々悩んでる時に重なっちゃって」
「そんな、それは香澄が悪いんじゃないから」
私と香澄は手をぎゅっと握り合う。
「今日、理緒の話聞いてかなり心配になった。いつでも相談していいからね」
「うん……」
「それと。引っ越しを手伝いに来てくれると嬉しいかも」
「分かった、行く」
「欲しいものあったら持ってっていいよ?」
「ありがとう」
私は気持ちを切り替えようとしたけれど、香澄と簡単に会えなくなるのはやはり寂しくて、いつまでもぐすぐすしていた。香澄は困ったように笑っていた。