MR(医薬情報担当者)だって恋します!


「……その、鈴木、本当にわかってる? 付き合うってことは友達じゃしないこともするって」

 鈴木が意地悪な言い方をした。

「そうだね」

 私は鈴木の胸ぐらを掴むと、思いっきり背伸びをして唇を鈴木の唇に押しつけた。

「こういうことでしょう?」

 鈴木は傷ついたような目をした。

「俺を軽蔑してるんだろ? 卑怯者って」
「軽蔑なんかしてないよ」
「本当に?」
「本当に。鈴木は私にとって大切な存在には変わりない」

 私は鈴木の目をじっと見た。苦悩が浮かんでいた。そんな鈴木の顔を見るとやっぱり心が痛んだ。
 それが何よりの答えなんだと私は思う。

「私も覚悟は決めたから。……私は鈴木という友達は失うけど、それよりも鈴木を失う方が辛いと思ったから。だから、私は鈴木と付き合う」

 私の言葉に鈴木は複雑な目で私を見た。

「鈴木……」
「これからよろしくね」

 私は手をだした。その手を鈴木が躊躇いがちに握り返す。

「何だか商談みたいだな」

 鈴木は微かに笑ったがすぐに真顔になった。

「……大切にするから。鈴木が覚悟決めてくれたこと、絶対後悔させないから」

 鈴木は言った。
 私は鈴木の言葉を信じられると思った。

< 142 / 238 >

この作品をシェア

pagetop