MR(医薬情報担当者)だって恋します!

「鈴木?」
『ん? ああ、ごめん。本当に、ごめん。なんて言っていいか……。俺……』
「何がごめんなのか、よくわからないけれど、沢野先生のところにその後一度行ってきたのは、断りにだから」
『それ、俺のせいなんだろ? 本当は鈴木、沢野先生と結婚する選択もあったんじゃないのか?』

 鈴木は弱々しく言う。私はふうとため息をついた。

「鈴木のせいじゃないよ。沢野先生のことは大好きだけれど、結婚となるとちょっと考えられないよ」
『そう……』

 鈴木はまだ項垂れているようだった。

「それに、鈴木と付き合うって私が決めたことなんだから、鈴木がそんなに落ち込む必要ないよ」
『俺……分からない』
「何が?」
『なんで鈴木が俺と付き合うことにしたのか、分からないよ』

 鈴木の声は沈んで消え入りそうだった。その声は私の心を締めつけた。
 私は壁掛け時計を見た。21時を回ろうとしている。

「鈴木、今から会えない?」
『え?』
「会って話そう。私のアパートの近くでもいい? まだ部屋には入れられない、から」
『ああ、別にいいけど……』
「じゃあ、電車の駅の前で待ってるから、来て」
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