MR(医薬情報担当者)だって恋します!

 駅の改札口を背の高い鈴木が出てくるのが見えて、私は駆け寄った。

「ごめん、来させて」
「それはいいんだけど……」
「近くに公園があるの。そこで話そう」

 私たちは数分黙って歩いた。
 公園に着くと、電灯のすぐそばにあるベンチに二人で腰掛けた。夜だからか私たち以外誰もいなかった。

「鈴木」

 私は鈴木の顔をじっと見つめて言った。

「鈴木が思っているより、私にとって鈴木は大切な存在なんだよ」

 私は自分で決断したのだ。鈴木が悲しむ必要はない。

「……でも、それは友達としてなんだろ?」

 痛いところを突かれて、私は苦笑いになる。

「うーん、それはその、そうなんだけれど。でも、もし沢野先生か鈴木を失うなら、私は鈴木をとろうと思ったの。それを分かって欲しいな」
「なんか複雑だな。鈴木にとって、橘先生、俺、沢野先生の順で大切なのか?」

 鈴木の顔は晴れない。

「今日は突っ込んでくるね」

 私はまた苦笑いになったが、鈴木は真剣だ。

「やっぱ、気になるだろ」
「でも、橘先生には家庭がある。それを壊そうとまでは思えない。鈴木は友達だったけど、それ以上を考えてみたんだよ。はあ。……私、恋愛オンチだから、なんだか一気にいろいろなことがあってパンクしそうだよ」
「それはそうかもな」

 鈴木はやっと少し笑顔を見せた。

「うん。鈴木が笑っていたほうが私、安心する。あの夜、手を掴まれたとき、正直怖かった」

 私は掴まれたところを触って言った。

「ごめん……」

 鈴木は私の手を見て項垂れた。
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